【3Dで現場が変わる】BIM/CIMとは?|施工管理が知っておくべき基礎知識と現場での使われ方

建設DX

「BIM/CIMって知ってる?」

先輩にそう聞かれて、「なんとなく3Dのやつですよね」と答えた。先輩は苦笑いしていた。「まあ、間違ってはない」と。

BIM/CIM。建設業界にいると最近やたらと耳にする言葉だ。国交省が「原則適用」と言い始めて、研修の案内も来る。でも、現場で毎日写真を撮って書類を書いている自分にとっては、「3Dモデルとか言われても、今の現場では2D図面で回ってるし……」というのが正直な感覚だった。

ただ、調べていくうちに分かったことがある。BIM/CIMは「いつか来る未来の話」ではなく、すでに始まっている変化だ。そして、若手の施工管理こそ早めに理解しておいた方がいい。

この記事では、BIM/CIMを「聞いたことはあるけど、よく分からない」という人向けに、現場目線で解説する。


BIM/CIMを一言で言うと

建設プロジェクトの情報を3Dモデルに集約して、設計から施工・維持管理まで一貫して活用する手法。

従来は2Dの図面(平面図・断面図・展開図)で設計し、施工し、完成図書を残していた。BIM/CIMでは、これを3Dモデルで行う。

ただし、BIM/CIMは「3Dの絵を作る」だけの話ではない。3Dモデルの中に属性情報(材質、寸法、数量、コスト、工期など)を入れ込む。つまり「見た目の立体」ではなく、「情報が詰まった立体」を作る。

BIMとCIMの違い

BIMCIM
正式名称Building Information ModelingConstruction Information Modeling
対象建築(ビル、マンション等)土木(道路、橋梁、トンネル等)
発祥海外(欧米で先行普及)日本(国交省が推進)

もともとBIMは建築分野、CIMは土木分野で使われていた用語だが、2023年から国交省は**「BIM/CIM」と一本化**して呼ぶようになった。建築も土木も関係なく、3Dモデルを使って建設プロジェクトを管理する、という考え方で統一された。

現場の人間としては、**「BIMもCIMも、やっていることは同じ方向」**と理解しておけば十分だ。


2D図面と3Dモデル、何が違うのか

「2Dで困ってないんだけど」という声はよく聞く。自分もそう思っていた。でも、2Dと3Dの違いを知ると「確かに3Dの方が便利だな」と思う場面がある。

2D図面の限界

2D図面は「平面図」「断面図」「展開図」を頭の中で組み合わせて、立体をイメージする必要がある。これが経験のある技術者なら問題ないが、若手や他業種との情報共有では誤解が生まれやすい

自分の経験で言うと、橋台の配筋図を見て鉄筋の干渉(ぶつかる箇所)をイメージするのが難しかった。平面図と断面図を行ったり来たりしながら「ここの鉄筋、物理的に入るのか?」と悩む。結局、現場で鉄筋を組んでみて「入らない」と判明し、設計変更になった。

3Dモデルなら、画面上で鉄筋の干渉が事前に分かる。「ここぶつかりますよ」が施工前に見えるので、手戻りが減る。

3Dモデルのメリット

① 誰でも直感的に理解できる 3Dモデルをくるくる回して見られる。平面図が読めない人でも、「ああ、こういう形になるのね」と理解できる。発注者への説明、住民説明会、新規入場者の教育——全部楽になる。

② 干渉チェックができる 構造物同士、配管同士、鉄筋同士がぶつかっていないかを、3Dモデル上で自動チェックできる。施工前に問題を発見できるので、手戻りが激減する。

③ 数量が自動で算出される 3Dモデルに寸法が入っているので、コンクリートの体積、鉄筋の数量、土量などを自動で計算できる。手拾いで数量を出す作業が大幅に減る。

④ 施工シミュレーションができる 「この順番で施工するとどうなるか」を3Dアニメーションで可視化できる。工程を視覚的に確認できるので、段取りのミスが減る。


BIM/CIMは現場でどう使われているのか

「メリットは分かった。で、実際にどう使うの?」という話。

使い方①:設計段階での合意形成

発注者と施工者の間で「完成イメージ」を共有するのに3Dモデルが使われる。

2D図面だと「ここはこういう構造になります」と口頭で説明しても、相手の理解度が分からない。3Dモデルなら画面を見せながら「こうなります」と示せるので、認識のズレが起きにくい。

自分はまだBIM/CIMの現場を担当していないが、先輩が担当した橋梁の現場では、3Dモデルを発注者との打ち合わせで使って「非常に分かりやすい」と好評だったそうだ。

使い方②:施工計画の検討

施工計画書を作る段階で、3Dモデルを使って施工手順をシミュレーションする。

例えば、クレーンの配置計画。「このクレーンをここに置いた場合、あの部材に届くか?」を3D上で確認できる。従来は図面上で旋回半径を描いて確認していたが、3Dの方が直感的に分かる。

使い方③:出来形管理との連携

3Dスキャナーやドローンで取得した現場の3Dデータ(点群データ)と、設計の3Dモデルを重ね合わせる。設計と実際の出来形のズレが、色分けで一目で分かる

従来は代表断面を測って合否判定していたが、3Dなら面的に全体を確認できる。「この部分だけ少し低い」というのが視覚的に分かるので、品質管理の精度が上がる。

使い方④:維持管理への引き継ぎ

施工が終わった後、完成した構造物の3Dモデルを維持管理者に引き渡す。モデルの中に材質や施工日時の情報が入っているので、将来の補修や点検の時に役立つ。

「この橋のこの部分、何年に何のコンクリートで打ったんだっけ?」が、3Dモデルをクリックするだけで分かる。紙の完成図書を倉庫から引っ張り出す時代は終わりつつある。


BIM/CIMの現状——正直まだ途上

メリットは多いが、正直に言うと普及はまだ道半ばだ。現場の人間として感じる課題も書いておく。

課題①:使える人が少ない

3Dモデルを作るには専門のソフト(Revit、Civil 3D、InfraWorksなど)を使いこなすスキルが必要。現時点では設計コンサルタントや大手ゼネコンの専門部署にしか使える人がいない。

中小の建設会社が自社でBIM/CIMをやるのは、人材的にもコスト的にもハードルが高い。

課題②:ソフトが高い

BIM/CIMで使うソフトは年間ライセンスで数十万円するものもある。中小企業には厳しい。ただし、無料のビューワー(モデルを見るだけのソフト)はあるので、「見る側」になるだけならコストはかからない。

課題③:すべての現場で必要なわけではない

小規模な側溝の入れ替え工事に3Dモデルが必要かと言えば、正直いらない。2D図面で十分だ。BIM/CIMが効果を発揮するのは、大規模で複雑な構造物の現場。

国交省が「原則適用」と言っても、全ての工事で3Dモデルを作るわけではない。工事の規模や内容に応じて、適用範囲が判断される。

課題④:データが重い

3Dモデルのデータは重い。スペックの低いPCでは開くのに時間がかかるし、現場でモバイル端末から見ようとすると動作が遅いこともある。通信環境の問題もある。


若手施工管理は何を準備すべきか

BIM/CIMが自分の現場に来るのはまだ先かもしれない。でも、今のうちから準備しておくと、いざという時に慌てない

① 3Dモデルを「見る」ことに慣れる

自分でモデルを作れる必要はない。まずはビューワーで3Dモデルを開いて、回して、拡大して見ることに慣れるだけでいい。

無料で使えるビューワーの例:

  • Autodesk Viewer(ブラウザで使える。インストール不要)
  • Navisworks Freedom(Autodeskの無料ビューワー)
  • SketchUp Free(ブラウザベースの3Dモデリングツール。簡単なモデルなら作れる)

週末に30分触ってみるだけで、「3Dモデルってこういうものか」という感覚が掴める。

② 点群データに触れておく

ドローンや3Dスキャナーから取得した点群データは、BIM/CIMと組み合わせて使われる。点群データがどういうものか、どうやって見るかを知っておくと、ICT施工の現場に入った時に話が通じる。

③ i-Constructionの流れを理解しておく

BIM/CIMはi-Constructionの柱の一つ。全体の流れを理解しておくと、「なぜBIM/CIMが必要なのか」の背景が分かる。「i-Constructionとは?」にまとめたので参考にしてほしい。

④ 資格は取っておく

BIM/CIMが普及しても、施工管理技士の資格の価値は変わらない。むしろ、「資格+3Dスキル」の組み合わせは市場価値が非常に高い。資格は「施工管理技士の種類と難易度」を参考に。


BIM/CIMに関連する資格・スキル

今のうちに取っておくと差がつく資格やスキルを紹介する。

BIM/CIM関連の資格

まだ「BIM/CIM専門の国家資格」は存在しない。ただし、関連する民間資格はある。

  • BIM利用技術者試験(一般社団法人日本建設情報技術センター)
  • 各ソフトの認定資格(Autodesk認定ユーザーなど)

国家資格ではないので優先度は低いが、「BIM/CIMに対応できる人材です」というアピールにはなる。

覚えておきたいソフト名

自分で使いこなす必要はないが、名前と用途を知っておくと現場で会話についていける。

ソフト名用途メーカー
Revit建築のBIMモデル作成Autodesk
Civil 3D土木の3D設計Autodesk
InfraWorksインフラの3Dモデル・シミュレーションAutodesk
Navisworks複数モデルの統合・干渉チェックAutodesk
TREND-CORE土木のCIMモデル作成福井コンピュータ
SketchUp簡易3DモデリングTrimble

Autodesk製品が圧倒的に多い。建設業界の3Dソフトは、ほぼAutodeskの世界と言っていい。


まとめ

BIM/CIMは、建設プロジェクトの情報を3Dモデルに集約して活用する手法だ。

今すぐ全ての現場で必要なわけではないが、流れは確実に3Dに向かっている。国交省の直轄工事では原則適用が始まっており、今後は中小規模の工事にも広がっていく。

若手施工管理としてやるべきことは、まず3Dモデルを「見る」ことに慣れること。自分で作れなくていい。ビューワーで触ってみるだけでいい。その一歩が、数年後に大きな差になる。

i-Constructionの全体像は「i-Constructionとは?」、現場のDXツールについては「電子小黒板アプリ6選」「CCUS登録方法」を参考にしてほしい。


この記事を書いた人

SEKOBASE編集部 施工管理技士として現場で働く代表が運営する、建設業専門のテック情報メディア。「現場を知る者が、現場を変える」をモットーに、蔵衛門・電子小黒板・CCUSなどの現場DXツールの使い方から、施工管理技士試験の対策まで、現場目線の情報を発信しています。