【現場で即使える】蔵衛門Padの使い方ガイド|初期設定から写真整理まで全手順

電子小黒板

蔵衛門Padを初めて起動した時、正直「何から触ればいいのか分からない」と思った。

機能が多いのは分かる。でも、現場は明日もある。マニュアルを端から端まで読んでいる暇はない。「とりあえず黒板付きの写真が撮れればいい。それ以外は後で覚える」——それが当時の本音だった。

結局、先輩に横について教えてもらいながら、3日くらいで基本操作は覚えた。ただ、写真の整理や台帳作成の機能を使いこなすまでには1ヶ月くらいかかった。「最初からこの手順で教えてくれれば、もっと早かったのに」と思うことが何度もあった。

この記事では、蔵衛門Padの使い方を**「現場で最低限必要な操作」から順番に**解説する。初日にやること、1週間目にやること、慣れてきたらやること——この順番で書くので、上から読んでいけばそのまま使えるはずだ。


蔵衛門Padとは?——30秒で把握する

蔵衛門Padは、株式会社ルクレが提供する電子小黒板アプリ。工事写真の撮影に使う黒板をデジタル化して、スマホやタブレットで撮影・管理できる。

電子小黒板アプリの中でシェアNo.1。国土交通省の「工事写真レビュー」に登録されており、公共工事での実績が最も多い。「電子小黒板を使ってください」と発注者に言われた時、蔵衛門を指定されるケースは多い。

電子小黒板アプリ全体の比較は「電子小黒板アプリおすすめ6選」にまとめている。この記事では蔵衛門Padに絞って、使い方を具体的に解説する。


【初日】まずはこれだけ——黒板付き写真を撮る

初日にやるべきことは3つだけだ。アプリのインストール、工事情報の登録、そして1枚写真を撮ること。

STEP 1:アプリをインストールする

App Store(iPhone/iPad)またはGoogle Play(Android)で「蔵衛門Pad」と検索してインストールする。

ダウンロード自体は無料だが、利用にはライセンスが必要。会社で契約している場合は、管理者からライセンス情報をもらう。個人で試す場合は、ルクレの公式サイトからトライアルを申し込める。

STEP 2:工事情報を登録する

アプリを開いたら、最初に「工事」を作成する。

入力する情報:

  • 工事名称: 契約書に書いてある正式な工事名をそのまま入力
  • 施工箇所: 工事の場所
  • 受注者名: 自分の会社名
  • 工期: 工事の開始日と終了日

ここで入力した工事名は、撮影する全ての写真の黒板に自動で表示される。つまり、毎回黒板に工事名を手書きする必要がなくなる。これだけで地味に時間が節約できる。

工事情報は後から修正もできるので、最初は完璧じゃなくてもいい。まず登録してしまうこと。

STEP 3:黒板を選んで写真を撮る

ここが蔵衛門Padの核心。

  1. 工事を選択した状態で「撮影」ボタンをタップ
  2. カメラ画面に切り替わる。画面の下部に電子小黒板が表示される
  3. 黒板をタップすると、内容を編集できる
  4. 撮影内容(「掘削工」「鉄筋組立」など)を入力
  5. 寸法値や測定値があれば入力
  6. 構図を決めて、シャッターを押す

これで、黒板の情報が写真に焼き込まれた状態で保存される。後から黒板だけ差し替えたり、画像を加工したりはできない仕組みになっている。これが「信憑性」の担保だ。改ざんできないから、検査でも信頼される。

最初は黒板の編集に手間取るかもしれないが、5枚も撮れば慣れる。手書き黒板を書く時間と比べたら圧倒的に早い。


【1週間目】効率を上げる——テンプレートと豆図

基本の撮影ができるようになったら、次は効率化だ。

黒板テンプレートを使いこなす

蔵衛門Padには黒板のテンプレートが大量に用意されている。工種別、発注者別、自治体別——目的に合ったテンプレートを選ぶだけで、黒板のフォーマットが自動的に整う。

例えば「国土交通省向け」のテンプレートを選ぶと、国交省が求める記載項目(工事名、工種、測点、設計値、実測値など)が最初からレイアウトされている。あとは数値を入力するだけ。

自分がよく使うテンプレートは「お気に入り」に登録しておく。 現場で「えーと、どのテンプレートだっけ」と探す時間が無くなる。

テンプレートのカスタマイズ

既存のテンプレートに欲しい項目がない場合は、カスタマイズできる。

黒板の項目を追加・削除・並び替えできるので、自分の現場に合った黒板を作っておけば、毎回の入力が最小限で済む。

自分は「掘削工」「鉄筋工」「コンクリート工」の3パターンをカスタマイズして保存していた。現場の9割はこの3パターンでカバーできた。

豆図(参考図)の挿入

黒板に図面の一部を挿入する機能。「この部分を撮影しています」という位置関係を示すために使う。

例えば、橋台の配筋写真を撮る時に、橋台の断面図を豆図として黒板に入れておく。検査官が写真を見た時に「この写真は構造物のどの部分か」が一目で分かるので、評価が上がる。

豆図の設定方法:

  1. 黒板の編集画面で「豆図」エリアをタップ
  2. 図面の画像ファイル(JPGまたはPNG)を選択
  3. 必要な範囲をトリミングして挿入

図面は事前にスマホに入れておく。PDFの図面をスクリーンショットしてJPGにする、という方法でも問題ない。


【2週間目】撮った写真を整理する

写真は撮りっぱなしだと意味がない。工種ごとに整理して、最終的には台帳にまとめる必要がある。蔵衛門Padには写真整理の機能もある。

アルバム(フォルダ)で整理する

蔵衛門Padでは、撮影した写真を**アルバム(フォルダ)**に振り分けて管理できる。

推奨するフォルダ構成:

  • 着手前・完成
  • 掘削工
  • 鉄筋工
  • 型枠工
  • コンクリート工
  • 出来形管理
  • 安全管理
  • 材料検査

工種ごとにフォルダを作っておいて、撮影した写真をその都度振り分ける。撮影時にアルバムを指定できるので、撮った瞬間に正しいフォルダに入る設定にしておくのがベスト。後からまとめて整理しようとすると、枚数が多すぎて挫折する。

自分は「今日撮った写真はその日のうちに整理する」をルールにしていた。5分もかからない作業だが、これを溜め込むと後で地獄を見る。

写真の削除と選別

1日に50〜100枚撮ると、ブレている写真や構図が悪い写真も混じる。不要な写真は早めに削除しておく。後から「どっちが本採用?」と迷う原因になる。

ただし、削除は慎重に。 「いらないかも」と思った写真が、後から必要になることもある。迷ったら残しておく方が安全だ。


【1ヶ月目】蔵衛門御用達との連携

蔵衛門Padで撮った写真を最終的に整理・提出するには、PC版の**蔵衛門御用達(くらえもんごようたし)**と連携するのが王道だ。

データの取り込み

蔵衛門Padからデータを書き出して、蔵衛門御用達に取り込む。方法は主に2つ。

方法A:クラウド経由 蔵衛門クラウドを使っている場合、アプリで撮影した写真が自動的にクラウドにアップロードされる。PC版の蔵衛門御用達からクラウドにアクセスして、写真をダウンロードする。

方法B:直接転送 Wi-Fi経由でアプリからPCに直接転送する。クラウドを使っていない場合はこちら。USBケーブルで接続して転送する方法もある。

写真台帳の作成

蔵衛門御用達に取り込んだ写真から、工事写真台帳を自動生成できる。黒板の情報が紐付いているので、「この写真は何の工種の何を撮ったか」が自動的に台帳に反映される。

手動で写真台帳を作ると1冊に数時間かかるが、蔵衛門御用達なら数十分で完成する。これは本当に助かる。

電子納品データの作成

公共工事では、写真を「電子納品」の形式で提出する必要がある。蔵衛門御用達はJACIC準拠の電子納品データをそのまま書き出せるので、手動でフォルダを作ったりファイル名を変えたりする必要がない。


蔵衛門Padを使う上でのコツ

実際に使ってみて「最初から知っていれば楽だったのに」と思ったことをまとめる。

コツ①:黒板は撮影前に準備しておく

現場に出てから黒板を作り始めると、時間がかかる。前日の夜、または朝イチで、今日撮る写真の黒板をあらかじめ作っておく。

例えば「今日は掘削工の写真を10枚撮る」と分かっているなら、10枚分の黒板を先に作っておく。現場では黒板を選んで撮るだけなので、撮影がスムーズになる。

コツ②:スマホの充電を確認する

当たり前だが、意外と見落とす。1日中撮影していると、スマホのバッテリーがゴリゴリ減る。モバイルバッテリーは必携。 自分は10,000mAhのものをポケットに入れている。

コツ③:画面の明るさを上げる

屋外の現場では、画面が暗いと黒板の内容が確認しにくい。撮影前に画面の明るさを最大にしておく。その分バッテリーの消費は増えるが、撮り直しになるよりマシだ。

コツ④:バックアップは毎日取る

スマホが壊れたら、写真データが全部飛ぶ。クラウド同期をオンにしているなら自動でバックアップされるが、念のためPCにも定期的に取り込んでおく。

自分の失敗談として、一度スマホを落として画面がバキバキになったことがある。幸いクラウドに同期していたからデータは無事だったが、もし同期していなかったら1週間分の写真が消えていた。

コツ⑤:防水ケースを用意する

雨の日も写真は撮る。急な雨に備えて、スマホの防水ケースは常に持っておくべきだ。ジップロックでも最低限の防水にはなるが、操作性を考えると専用の防水ケースの方がいい。


よくあるトラブルと解決法

「黒板が小さくて読めない」と言われた

検査で指摘されるパターン。撮影時の構図の問題であることが多い。黒板が写真の端に小さく写っている状態だと、印刷した時に読めない。

対処法:撮影時に黒板のサイズを大きめに設定する。蔵衛門Padでは黒板の表示サイズを変更できるので、写真全体の1/4〜1/5くらいの面積になるよう調整する。

「写真の日付が違う」

スマホの日付設定がずれていると、写真のメタデータの日付もずれる。撮影前にスマホの日付・時刻が正しいか確認する。自動設定にしていれば通常は問題ないが、海外出張後などにずれることがある。

「アプリが重い・落ちる」

写真枚数が増えてくると、アプリの動作が重くなることがある。定期的にPCにデータを移して、アプリ内の写真を減らすことで改善する。特に古いスマホだと顕著に出る。


まとめ

蔵衛門Padの使い方を「初日→1週間→2週間→1ヶ月」の時系列で解説した。

最低限やるべきことは、工事情報を登録して、黒板付きの写真を撮ること。これだけなら初日にできる。そこからテンプレートのカスタマイズ、豆図の挿入、写真整理、台帳作成と、段階的にステップアップしていけばいい。

他の電子小黒板アプリとの比較は「電子小黒板アプリおすすめ6選」を参考にしてほしい。施工管理の仕事全体については「施工管理とは?」にまとめている。


この記事を書いた人

SEKOBASE編集部 施工管理技士として現場で働く代表が運営する、建設業専門のテック情報メディア。「現場を知る者が、現場を変える」をモットーに、蔵衛門・電子小黒板・CCUSなどの現場DXツールの使い方から、施工管理技士試験の対策まで、現場目線の情報を発信しています。