【全7種類】施工管理技士の種類と難易度を完全整理|どの資格から取るべきか現場技術者が解説

施工管理技士試験

「施工管理技士って、何種類あるんですか?」

後輩にこう聞かれて、すぐに全部答えられなかった自分がいた。土木と建築は知っている。管工事と電気もなんとなく。でも7種類全部を正確に言えるかというと、正直あやしかった。

施工管理技士は全部で7種類。それぞれ対象とする工事が違い、難易度も合格率もバラバラだ。しかも1級と2級があるから、組み合わせは14パターン。「自分はどれを取ればいいのか」が分からないまま、とりあえず会社に言われた資格を受ける——という人が多いのではないかと思う。

この記事では、7種類の施工管理技士を現場で働く人間の目線で完全整理する。合格率や難易度だけでなく、「どんな現場で必要か」「取ると何が変わるか」「どの順番で取るべきか」まで踏み込んで書く。


施工管理技士とは?——30秒で分かる基礎知識

施工管理技士は、建設工事の施工管理を行う技術者の国家資格だ。国土交通大臣が認定する。

この資格を持っていると、工事現場に配置が義務付けられている**主任技術者(2級)監理技術者(1級)**になれる。逆に言えば、資格がないとこれらの役職に就けない。会社としても有資格者が何人いるかで受注できる工事の幅が変わるから、資格保有者は重宝される。

1級と2級の違い

シンプルに言うと、担当できる工事の規模が違う

2級1級
なれる役職主任技術者主任技術者 + 監理技術者
対応できる工事4,000万円未満の工事制限なし(大規模工事もOK)
経審の点数1人あたり2点1人あたり5点
受験に必要な実務経験短い(学歴による)長い(2級取得後3年以上など)

まずは2級を取って、実務経験を積んでから1級に挑戦するのが王道ルートだ。


施工管理技士 全7種類の一覧

#種類対象工事の例一言で言うと
1土木施工管理技士道路、橋、河川、ダム、トンネル土木工事全般の王道資格
2建築施工管理技士ビル、マンション、住宅、商業施設建築工事の施工管理に必須
3管工事施工管理技士空調、給排水、ガス配管設備屋さんの資格
4電気工事施工管理技士電気設備、照明、受変電設備電気工事の施工管理
5電気通信工事施工管理技士通信設備、LAN、放送設備2019年に新設された資格
6造園施工管理技士公園、緑化工事、庭園造園業界の必須資格
7建設機械施工管理技士ブルドーザー、ショベルなどの機械施工重機を使う工事に特化

自分は土木だから土木施工管理技士を取ったが、周りを見ると建築や管工事を持っている人も多い。複数の種類を持っている人もいて、「土木1級+管工事2級」みたいな組み合わせで仕事の幅を広げている。

では、1つずつ詳しく見ていく。


① 土木施工管理技士

対象工事: 道路、橋梁、河川、トンネル、ダム、上下水道、土地造成など

建設業の中でも最もメジャーな資格の1つ。インフラ整備に関わる工事の施工管理を行うために必要で、公共工事を受注する建設会社では必須と言っていい。

自分がこの資格を選んだ理由は単純で、今やっている現場が土木だったから。道路や河川の工事をやっているなら、まずこれを取るのが自然だ。

国や地方自治体の公共工事では、入札時に技術者の資格が評価される。土木施工管理技士を持っている社員がいれば、会社の経審(経営事項審査)の点数が上がり、受注できる工事が増える。だから会社側も取得を強く推奨してくる。「取ったら資格手当出すよ」という会社が多いのはこのためだ。

2級土木の具体的な勉強法は「2級土木施工管理技士の勉強法完全ガイド」に詳しくまとめている。


② 建築施工管理技士

対象工事: ビル、マンション、戸建住宅、商業施設、工場など

建物を建てる工事全般の施工管理に必要な資格。ゼネコン(総合建設会社)やハウスメーカーで働く人は、ほぼ確実にこの資格を目指すことになる。

土木と建築は「施工管理技士」の中でもツートップで、受験者数が多い。ただし、建築の方が試験範囲が幅広いと言われている。構造、仕上げ、設備まで網羅的に出題されるため、「広く浅く」の知識が求められる。

建築の現場は土木と比べて室内作業の割合が多いのが特徴。天候に左右されにくい反面、工程が複雑になりやすい。複数の業者が同じフロアで同時に作業するので、調整力が試される。


③ 管工事施工管理技士

対象工事: 空調設備、給排水設備、ガス配管、冷暖房設備、浄化槽など

「設備屋さん」と呼ばれる人たちの資格。建物の中のパイプやダクトに関わる工事を管理する。

一般的には建築施工管理技士ほど知名度はないが、設備工事なしで建物は完成しない。ビルでもマンションでも、空調と給排水は必ず必要だから、管工事施工管理技士の需要は安定している。

試験内容は空調や衛生に関する専門知識が中心。土木や建築と比べると受験者数は少ないが、実務で直接役立つ知識が試験で問われるので、「勉強がそのまま仕事に活きる」という声を設備系の先輩からよく聞く。


④ 電気工事施工管理技士

対象工事: 電気設備工事、照明設備、受変電設備、発電設備など

建物やインフラの電気設備工事を管理する資格。電気工事会社や、ゼネコンの電気部門で必要になる。

注意点として、「電気工事士」とは別の資格だ。電気工事士は実際に電気工事の作業を行うための資格で、電気工事施工管理技士は工事全体を管理するための資格。施工管理技士の方がマネジメント寄りの資格になる。

電気系の資格は体系が複雑で、電気工事士・電気主任技術者・電気工事施工管理技士の違いが分かりにくい。現場で電気工事の施工管理をやるなら、まず電気工事施工管理技士を取るのが正解だ。


⑤ 電気通信工事施工管理技士

対象工事: 通信設備、LAN工事、光ファイバー、放送設備、防犯カメラなど

2019年に新設された、施工管理技士の中で最も新しい資格。 通信インフラの需要増大に伴い、専門の施工管理技士が必要とされるようになった。

5Gやデータセンターの建設が増える中で、今後ますます需要が伸びると言われている。新設されたばかりなので有資格者がまだ少なく、取得すれば希少価値が高い

試験内容は通信工学の基礎知識が問われるため、電気系のバックグラウンドがある人は取り組みやすい。逆に、土木や建築畑の人にはなじみの薄い分野なので、ゼロから始めると苦労するかもしれない。


⑥ 造園施工管理技士

対象工事: 公園、庭園、緑化工事、屋上緑化、街路樹の整備など

造園業界で働く人向けの資格。公園の整備や緑化工事を受注するために必要になる。

受験者数は他の施工管理技士と比べると少ないが、造園業界ではこの資格がないと仕事にならないと言っていいレベル。特に公共の公園整備を受注するには、造園施工管理技士の配置が必須となるケースが多い。

試験では植物の知識(樹木の剪定方法、芝生の管理など)が問われるのが他の施工管理技士にはない特徴。土木系の知識(土壌、排水)も出るので、土木の基礎がある人は有利。


⑦ 建設機械施工管理技士

対象工事: ブルドーザー、油圧ショベル、ロードローラーなどを使う機械施工全般

重機を使った工事の施工管理に特化した資格。他の施工管理技士と大きく違うのは、実技試験があることだ。実際に重機を操作する試験があるため、ペーパーだけでは取得できない。

土木の現場では重機を使わない日がないと言ってもいいくらい、機械施工は身近な存在だ。ただ、この資格を積極的に取りに行く人は多くない印象がある。土木施工管理技士で主任技術者になれるなら、わざわざ別の資格を取る必要がないという判断だろう。

一方で、重機のリース会社や、機械施工専門の業者では重宝される。ニッチだが需要は確実にある。


難易度を合格率で比較する

「どの資格が一番難しいの?」という疑問に答えるために、直近の合格率を比較する。

2級の合格率(第一次検定)

種類合格率(目安)難易度の印象
土木60〜70%比較的取りやすい
建築35〜45%範囲が広くてやや難
管工事55〜65%専門知識があれば取りやすい
電気工事55〜65%電気の基礎があれば普通
電気通信50〜60%新しくて過去問が少ない
造園50〜60%受験者が少なく情報も少ない
建設機械40〜55%実技試験がある分ハードル高い

1級の合格率(第一次検定)

種類合格率(目安)難易度の印象
土木50〜60%2級の延長で対策しやすい
建築40〜50%施工管理技士の中で最難関クラス
管工事30〜45%専門性が高く油断できない
電気工事35〜50%計算問題が増える
電気通信30〜45%過去問の蓄積が少ない
造園35〜45%受験者数が少なく情報戦で不利
建設機械25〜45%第二次の実技が最大の壁

※合格率は年度によって変動する。あくまで「だいたいこれくらい」という目安として見てほしい。

ざっくりした難易度ランキングとしては:

取りやすい → 2級土木 ≒ 2級管工事 > 2級電気 > 2級電気通信 ≒ 2級造園 > 2級建築 > 2級建設機械 → 難しい

2級土木は合格率が高く、過去問も豊富で対策しやすい。建設業界で「最初の1つ」として取る人が多いのも納得だ。


どの資格から取るべきか?——判断フローチャート

「自分はどれを取ればいいのか」を考えるために、判断の流れを整理する。

STEP 1:今の仕事に直結する資格を確認する

これが最優先。今やっている工事の種類に合った資格を取るのが鉄則。

  • 道路・橋・河川の現場 → 土木施工管理技士
  • ビル・マンション・住宅の現場 → 建築施工管理技士
  • 空調・給排水の設備工事 → 管工事施工管理技士
  • 電気設備の工事 → 電気工事施工管理技士
  • 通信設備の工事 → 電気通信工事施工管理技士
  • 公園・緑化の工事 → 造園施工管理技士
  • 重機メインの工事 → 建設機械施工管理技士

STEP 2:まず2級から

どの種類でも、まずは2級を取る。1級はその後でいい。

理由はシンプルで、2級を取るだけで主任技術者になれるし、資格手当がつくし、転職市場での評価も上がる。1級は実務経験の要件が厳しいから、経験が足りないうちは受験すらできないケースもある。

STEP 3:2級を取った後のルート

2級を取ったら、次の選択肢は2つ。

ルートA:同じ種類の1級を目指す 王道ルート。2級土木を取った人が1級土木に挑戦する、というパターン。実務経験が3年以上(学歴による)必要なので、そこまでの間にしっかり現場経験を積む。

ルートB:別の種類の2級を取る 仕事の幅を広げたい場合。例えば、土木の現場で設備工事にも関わることがあるなら、2級管工事を追加で取ると守備範囲が広がる。

どちらが正解ということはない。自分のキャリアプランと会社のニーズに合わせて決めればいい。ただ、1つの種類で1級まで取る方が、転職市場での評価は高いという話は聞く。


受験資格について

施工管理技士の受験には実務経験が必要だ。ただし、2024年度の制度改正で要件がかなり緩和された。

第一次検定(旧:学科試験)

2級: 17歳以上なら誰でも受験可能(実務経験不要)

1級: 19歳以上なら誰でも受験可能(実務経験不要)

これは大きな変更だ。以前は第一次検定にも実務経験が必要だったが、今は年齢さえ満たせば受験できる。在学中に第一次検定だけ先に合格しておくことも可能になった。

第二次検定(旧:実地試験)

第二次検定には実務経験が必要。必要な年数は学歴によって異なる。

学歴2級の必要経験1級の必要経験
大学(指定学科)1年以上3年以上
短大・高専(指定学科)2年以上5年以上
高校(指定学科)3年以上10年以上
その他8年以上11年以上(2級合格後5年以上)

※2024年度改正後の要件。最新の情報は各試験の実施機関で確認してほしい。


資格を取ると具体的に何が変わるか

「資格を取れ」と言われても、メリットが実感できないとモチベーションが上がらない。自分の経験と周りの話を含めて、具体的に変わることを書く。

資格手当がつく

会社によるが、月額5,000円〜50,000円の資格手当がつく。2級で月1万円、1級で月3万円という会社が多い印象。年間で12万〜36万円。試験勉強に100時間かけたとして、時給換算すると1,200円〜3,600円。しかも毎年もらえるから、2年目以降は完全にプラスだ。

会社からの評価が変わる

有資格者がいないと受注できない工事がある。だから、資格を取ると「会社に貢献している」と評価される。昇進にも影響するし、「次の現場の主任技術者、お前でいけるな」と言われるようになる。

転職の選択肢が広がる

建設業界は慢性的な人手不足で、有資格者は本当に引く手あまた。2級土木を持っているだけで、転職サイトのスカウトメールが増えたという話を周りで何人からも聞いた。1級を持っていれば、さらに条件のいい会社を選べる立場になる。


まとめ:迷ったら今の現場に合った2級から

施工管理技士7種類を一通り整理した。最後にポイントをまとめる。

施工管理技士は全7種類あり、それぞれ対象工事が異なること。1級と2級があり、まず2級から取るのが王道であること。2024年度から第一次検定の受験資格が緩和され、年齢だけで受験できるようになったこと。資格手当・キャリアアップ・転職の3点で、取得のメリットは大きいこと。

「どれから取ればいいか分からない」なら、今の現場に直結する種類の2級を選べば間違いない。土木の現場なら2級土木、建築の現場なら2級建築。シンプルだ。

2級土木の具体的な勉強法は「2級土木施工管理技士の勉強法完全ガイド」にまとめている。現場で働きながらでも3ヶ月で合格できる方法を、自分の体験ベースで解説しているので参考にしてほしい。


この記事を書いた人

SEKOBASE編集部 施工管理技士として現場で働く代表が運営する、建設業専門のテック情報メディア。「現場を知る者が、現場を変える」をモットーに、蔵衛門・電子小黒板・CCUSなどの現場DXツールの使い方から、施工管理技士試験の対策まで、現場目線の情報を発信しています。