「建設業って稼げるの?」
転職を考えていた頃、一番気になっていたのがこれだった。ネットで調べると「平均年収500万円」とか出てくるが、それが自分にも当てはまるのかが分からない。20代の若手がいきなり500万もらえるわけがない。でも、具体的にいくらなのかは誰も教えてくれない。
だから、自分の数字を出す。
施工管理3年目、20代後半、地方の中小建設会社勤務。年収は約420万円。内訳も全部書く。「建設業に入ったらこれくらいもらえる」というリアルな基準にしてほしい。
施工管理3年目のリアルな給料内訳
まず、自分の給料の内訳を公開する。
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 基本給 | 220,000円 |
| 資格手当(2級土木) | 10,000円 |
| 現場手当 | 15,000円 |
| 通勤手当 | 12,000円 |
| 残業代(月平均20〜30時間) | 40,000〜60,000円 |
| 月収合計 | 約300,000〜320,000円 |
これに加えて、ボーナスが年2回(夏・冬)で合計約60万円。
年収にすると約420万円。 手取りは月24〜26万円くらい。
正直、めちゃくちゃ高いわけではない。でも、地方で20代後半なら悪くない数字だと思う。特に残業代がちゃんと出る会社かどうかで、年収は大きく変わる。
建設業の平均年収を職種別に見る
自分の数字だけだと偏るので、業界全体の数字も整理する。
職種別の年収目安
| 職種 | 20代 | 30代 | 40代 |
|---|---|---|---|
| 施工管理(土木) | 350〜450万 | 450〜600万 | 550〜750万 |
| 施工管理(建築) | 350〜450万 | 450〜650万 | 600〜800万 |
| 施工管理(設備) | 330〜420万 | 420〜580万 | 530〜700万 |
| 重機オペレーター | 350〜420万 | 400〜500万 | 450〜550万 |
| 鳶職 | 350〜450万 | 400〜550万 | 450〜600万 |
| 型枠大工 | 330〜420万 | 400〜530万 | 450〜580万 |
| 鉄筋工 | 320〜400万 | 380〜500万 | 430〜550万 |
| 普通作業員 | 300〜370万 | 350〜430万 | 380〜480万 |
※あくまで目安。会社の規模、地域、残業時間によって大きく変わる。
注目してほしいのは、施工管理は30代〜40代で年収が大きく伸びること。資格を取って経験を積むほど、年収カーブが急になる。これは職人系の職種と比べた時の施工管理の強みだ。
大手ゼネコン vs 中小建設会社
年収は会社の規模で全然違う。
| 規模 | 20代施工管理の年収目安 |
|---|---|
| スーパーゼネコン(鹿島・大林・清水・大成・竹中) | 500〜650万 |
| 準大手ゼネコン | 450〜550万 |
| 中堅ゼネコン | 400〜500万 |
| 地方の中小建設会社 | 330〜430万 |
スーパーゼネコンの20代が500万超えているのに対して、地方の中小だと350万前後というケースもある。同じ「施工管理」でも、会社によって150万以上の差がある。
ただし、大手は転勤が多い、残業が多い、現場の規模が大きくプレッシャーも大きい、という面もある。年収だけで比較するのは危険だ。
年収を上げる5つの方法
「今の年収に満足していない」という人向けに、現実的な年収の上げ方を書く。
① 資格を取る——これが一番確実
施工管理技士の資格を取ると、資格手当が毎月つく。金額は会社によるが、目安はこんな感じだ。
| 資格 | 月額手当の目安 | 年額換算 |
|---|---|---|
| 2級施工管理技士 | 5,000〜15,000円 | 6〜18万円 |
| 1級施工管理技士 | 15,000〜50,000円 | 18〜60万円 |
自分の会社では2級土木で月1万円。年間12万円。これが毎年もらえるから、3年で36万円。勉強時間に対するリターンとしてはかなり良い投資だ。
1級を取ればさらに上がる。会社によっては月3〜5万円の手当がつくところもある。年間36〜60万円のプラス。資格だけで年収が60万変わるなら、取らない理由がない。
資格の種類と選び方は「施工管理技士の種類と難易度」、2級土木の具体的な勉強法は「2級土木施工管理技士の勉強法完全ガイド」にまとめている。
② 転職する——環境を変えるのが最速
同じスキルでも、会社が変わるだけで年収が50〜100万変わることは珍しくない。
建設業は慢性的な人手不足だ。2級施工管理技士を持っている20代なら、転職市場では引く手あまた。転職サイトに登録したら、翌週にはスカウトメールが来たという話を同僚から何人も聞いた。
特に地方の中小から都市部の中堅以上に移ると、年収が大幅に上がるケースが多い。ただし、転勤や現場の規模が変わるので、年収以外の条件もよく確認すること。
③ 1級を取って監理技術者になる
2級で主任技術者、1級で監理技術者。監理技術者になると、大規模工事の責任者になれる。会社にとっての価値が一気に上がるので、昇給や昇進に直結する。
1級を持っている施工管理は、40代で年収700万〜800万というのも珍しくない。大手なら1,000万超えもある。
④ 残業代がちゃんと出る会社を選ぶ
これは地味だが重要。建設業にはまだ「みなし残業」や「サービス残業」が残っている会社がある。残業代が全額支給される会社と、みなし30時間固定の会社では、同じ基本給でも年収で50万以上の差が出ることがある。
転職時には「残業代の支給方法」を必ず確認すること。面接で聞きにくければ、転職エージェント経由で確認してもらうのがいい。
⑤ 副業で稼ぐ
施工管理のスキルを活かした副業も選択肢としてはある。
- 施工管理技士の試験対策コンテンツの作成
- 建設業向けのITサポート
- 電子書籍の執筆
ただし、会社の就業規則で副業が禁止されている場合があるので、事前に確認すること。また、本業の現場作業で体力を使っている中で副業をするのは、体調管理が難しい。無理のない範囲で。
建設業の年収は今後上がるのか
結論から言うと、上がる方向にある。
理由①:人手不足が深刻
建設業界は若手の入職者が減り続けている。一方で、インフラの老朽化対策や災害復旧の需要は増えている。需要に対して供給が足りないから、単価(=給料)は上がらざるを得ない。
理由②:働き方改革の影響
2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用された。残業を減らす流れの中で、「残業で稼ぐ」モデルが通用しなくなっている。その代わりに基本給を上げる会社が増えてきている。
理由③:CCUS(建設キャリアアップシステム)の普及
CCUSの普及によって、技能者のスキルが「見える化」されるようになった。レベルの高い技能者には適正な報酬を、という流れができつつある。詳しくは「CCUS(建設キャリアアップシステム)の登録方法」に書いた。
年収以外のお金の話
年収の額面だけでなく、知っておくべきお金の話がある。
日当制 vs 月給制
職人さんの場合、日当制(1日いくら)で働いている人が多い。雨で現場が止まると、その日の収入がなくなる。月給制の施工管理と比べると、収入が不安定になりやすい。
施工管理で正社員として働いている場合は月給制が基本なので、雨の日も給料は出る。この安定性は、年収の数字には表れないメリットだ。
出張手当・宿泊費
現場が遠方の場合、出張手当や宿泊費が支給される。会社によっては日当3,000〜5,000円が別途つく。出張が多い人は、この手当だけで年間数十万円のプラスになることもある。
福利厚生
大手になるほど福利厚生が充実している。寮・社宅、資格取得支援(受験費用や講習費用の会社負担)、退職金制度など。これらは年収には含まれないが、実質的な収入に大きく影響する。
まとめ:建設業は「稼げる」が、戦略がいる
建設業の年収は、何も考えずに働いていても生活できるレベルにはなる。でも、「しっかり稼ぎたい」なら戦略がいる。
資格を取る。適正な評価をしてくれる会社を選ぶ。キャリアアップの道筋を考える。この3つを意識するだけで、同じ「施工管理」でも年収に数百万の差がつく。
まずは2級の資格を取ることから始めよう。これが年収アップの第一歩だ。勉強法は「2級土木施工管理技士の勉強法完全ガイド」に書いている。
施工管理の仕事内容については「施工管理とは?」、「きつい」と感じている人は「施工管理はきつい?3年目のリアルと対処法」も読んでみてほしい。
この記事を書いた人
SEKOBASE編集部 施工管理技士として現場で働く代表が運営する、建設業専門のテック情報メディア。「現場を知る者が、現場を変える」をモットーに、蔵衛門・電子小黒板・CCUSなどの現場DXツールの使い方から、施工管理技士試験の対策まで、現場目線の情報を発信しています。


